学校再開後の音楽の授業を考える⑥「鑑賞の学習活動の充実Ⅱ」

2 授業コラム

皆さんこんにちは!

前回、「鑑賞の学習活動の充実Ⅰ」ということで、

主に「音楽に浸る」時間をとろう!

という話をしていました。

ただ、そうはいっても、

ただ聴かせてるだけじゃぁ、眠たそうで…

と、お困りの先生も多いと思います。

今は、身体はなかなか動かせませんので、

思考をアクティブに!

そんな鑑賞の学習の充実について、

考えてみましょう!

今回のキーワードはプラス1の問いです!

「聴き味わう」こと

ただ音楽を聴かせるだけ

確かにそれは、「音楽の魅力」に頼ってしまっているだけの

よくない鑑賞の学習かもしれません。

「聴く」だけではなく、

聴き味わう」ことを目指すということです。

小学校では、「曲の全体を聴き味わう」ことが求められています。

中学校では、なかなか全体を聴き味わうことは難しいですね。

楽曲の規模、時間的な問題が大きいわけですが、

それが部分であっても「聴き味わう」ことはできると思っています。

「味わう」ということは、

曲や演奏のよさなどについて、自分の考えをもち、曲を聴き深めることです。

(わかりやすいように、小学校の学習指導要領に沿って述べています)

つまり、

聴き取ったことと、感じ取ったこととの関わりについて考えながら、

「曲や演奏のよさ」を判断したり、

それについての自分の考えを思考したりすることが考えられます。

また、そのような思考・判断を、

話し言葉や書き言葉で表現して、

例えば、学習のはじめと終わりでの、

自分の中での考えの変化(変容、更新や再構築)について見つめることで、

深まりを実感することができます。

「音楽的な見方・考え方」を働かせる

そこで、必要となるのが「音楽的な根拠」です。

鑑賞の活動をする際に、

音楽的な見方・考え方を働かせることができているか、ですね。

ただ、なかなか子供は、音楽的な見方・考え方を

働かせることができません。

だから、先生が様々な手立てをうつ必要があります。

比較をしたり、

問いをもたせたり、

などなど、

子供たちの鑑賞への意欲を喚起するような手立てを考えてみてください。

その時、絶対に外せないのが、

その手立ては、

「音楽的な見方・考え方」を働かせるための支援となっているか

という視点です。

今回は、先ほど挙げた「問い」を用いて、

具体的には、どのように鑑賞の学習を充実させていくか

考えてみましょう。

暴れん坊将軍の馬はどんなに速くてもパカラッパカラッ!?

は?どういうこと?

馬はどのように走りますか?

パッパカ、パッパカ!

もしくは、パカラッパカラッ!

などですよね。

シューベルト作曲の「魔王」では、

馬はどのように走っているのでしょうか?

(悪しき定期考査の伝統的な定番問題のように、「前奏は馬が走る音を表しています」と多くの子供たちは答えるでしょう…)

タタタ、タタタ、タタタ…

ダダダ、ダダダ、ダダダ…

みたいな感じでしょうか?

ん?あら?どうでしょうか?

馬は、本当にそんなふうに走りますか?

とても速く走っているから、前足後ろ足入り乱れてそんな感じに聞こえるんでしょうか?

考えてみましょう。

例えば、「馬が走る音をつくってみよう!

という音楽づくりをするとしましょう。

子供たちはどんな音をつくるでしょうか?

おそらく、パカラッパカラッとか、

パッカパッカという音をつくる子が多いのではないでしょうか?

ここで

プラス1の問い

です!

(実際には馬はそんなふうには走らないのに)

なぜ、シューベルトは馬の走る様子を3連符で表したのだろうか?」

「魔王」を用いた題材で一通り学習したあたりで、

子供たちに問いかけてみませんか?

子供たちはどのような思考・判断をするでしょうか??

歌曲の王 シューベルトの偉大さ、魅力

このような問いについてあらためて考えていくと、

3連符というリズムや、調性などと、歌詞の内容についての関連から

魔王という曲をさらに深く聴き味わおうとするかもしれません。

それを通して、シューベルトの偉大さや魅力に気付けるかもしれません。

「馬が走っている」ことを音楽で表した、

という言葉では不十分だと気付きます。

今、どんな状況なのか?

どんな人がどんな心情でいるのか?

どんな世界観なのか?

疾走感、焦燥感、不安、恐怖…

写真を切り取って音楽にしたのではなく、

そこにその世界が動いています。

そうです、シューベルトは、

音楽を写実的に描いているのではなく、

登場人物の心情やその移り変わりを含め、

その心象風景を音楽で表すことに長けていたのです。

効果音やBGMとして見事に情景を表しているわけではないのです。

比較ということを考えるならば、

非常に写実的につくられた音楽と聴き比べてみるといいですね。

サンサーンスの「動物の謝肉祭」とか?

プライヤーの「口笛吹と子犬」とか?でしょうか。

発展的に、

オネゲルの「パシフィック231」などは、「蒸気機関車か!」と思いつつも、

(逆に)これは単純な描写音楽だろうか?」などと考えるのも面白いかもしれませんね。

ちなみに、暴れん坊将軍に出てくる馬は、

どんなに速くてもパカラッパカラッで表現できそうじゃないですか??笑(私見です)

単なるBGMや効果音ではない!

少しでもそんな視点をもって「魔王」を聴き味わってみると、

表面的ではなく、それまでとは違う魅力を感じながら

聴き味わうことができるかもしれません。

それこそが、歌曲の王 シューベルトの凄さであり、魅力だと考えています。

「魔王」を例に挙げて、

プラス1の問いについて

紹介してみましたが、

是非、他の楽曲でも、

音楽的な見方・考え方を働かせ、

思考をアクティブにする、

そんな問いを子供たちにもたせながら、

鑑賞に取り組ませてみませんか?

質問や相談お待ちしています!

他の楽曲でも効果的な「問い」を取り入れた題材をデザインしてみたいあなた!質問はこちらから!

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