開催報告 ワークショップ「オンライン授業の模擬授業をオンラインでやって語る」

Vol.1 R3.9.18.Sat.(Zoomにて)

本ワークショップ1日目の報告です。
前回のワークショップからの1ヶ月は学校においては日々移り変わる状況の中、本当にめまぐるしい時期だったと思います。
そんな中ご参加いただいた先生方、また模擬授業を行ってくださった茨城県笠間市立みなみ義務教育学校の磯幸子先生、埼玉県香芝市立香芝東中学校の佐藤光太郎先生、本当にありがとうございました。
会の概要と、参加者の方のアンケートから抜粋させていただき、開催報告と代えさせていただきます。

1 著作権について

会のはじめに、私の方から「著作権」についてお話させていただきました。今回は「オンラインでの音楽の授業」ということで、実はかなり気を付けなければならない点がありましたので、提示するもの、使用する楽曲、使用方法などなど、事前に模擬授業者と入念に確認・打合せを行いました。
併せて、「授業目的公衆送信補償金制度」についても触れましたが、これについては音楽科授業工房は単なる任意団体(いや会員制でもない笑)なので、その対象ともなりません。だからJASRAC管理楽曲であれば、その使用について手続きを取ることとなります。
「授業目的~」については、小・中学校であれば、市町村(学校組合)がその手続きを取っている(はず)と思いますので、音楽科は特に関係するところがあるので、一度確認されてみることをおススメします。

2 模擬授業(オンライン:同期型) の体験


模擬授業は茨城県の磯先生と、埼玉県の佐藤先生のお二人にしていただきました。
音楽活動や、子供の見取り、子供とのやり取り等に、端末の特性やwebアプリを活用した素晴らしい授業でした!

登場した主な機能やアプリ等は、
・チャット機能、リアクション機能の活用
・mentimeterによる意見集約
・YAMAHAデジタル教材「うた授業」
・vocarooを用いた歌唱の録音・保存
・Googleフォームを用いた歌唱の提出
・OBSの活用
などでした。

3 オンライン授業におけるポイント・留意点~座談会

福岡県教育センターの倉橋指導主事よりオンライン授業におけるポイントや留意点についてお話いただきました。ご自身の実践に基づいたお話は大変参考になるものでした。
最後の座談会では、様々な話題が出ました。
やはり各地域・学校によって状況や直面している課題は様々でした。
これについては、「緊急時の対応」としてのオンライン授業なのか、「日常的(継続的)運用」としてのオンライン授業なのか、という点でも違いが出てくると思いました。
また、今まで音楽室で参集・対面で行っていた授業を「再現しようとする」考え方は一度捨てたほうが良いと考えます。
さらに、そういったオンライン授業の目的や方針を子供たちときちんと共有することが大切です。
どうしても、実施することが決められたオンライン授業を成立させる、スムーズに流すことを目標としてしまいがちですが、子供はそんなこと特に望んでいないし、やはり楽しい学習がしたいはずです。子供たちが置き去りにならないよう注意したいものですね。



今回、JASRAC関係の手続きなど、運営について費用がかかる点について、今後のことも含めて考えました。(HPの運用やZoomのアカウント取得を考えると実際はマイナス笑)
あらためてこのワークショップは完全「無料」で行っていることから、報酬は皆さんからいただくお言葉(叱咤含む)や笑顔のみで笑、それがエネルギーにもなっていることも実感します。
ご協力いただいている皆さん本当にありがとうございます。

4 アンケートから

以下、アンケートから抜粋です。
〇 今日初めて参加させていただきました。どきどきしていたのですが、とても参加しやすい雰囲気で、2時間あっという間でした!できれば…私はICT関係がとっても苦手で…(いや、勉強してできるようになるんだ!という気持ちはあります!今日、そんな気持ちになりました!やっとです!ありがとうございました!)…最低限のツールで、こんな苦手な自分にもこれならできそう…というオンライン授業ネタをたくさん知りたいです…。でも、今日、オンライン授業に対して、気持ちがやっと前向きになったので、まずは自分でちゃんと調べていこうとも思いました!
〇 私の勤務校ではオンライン授業は難しいので、模擬授業に参加させていただき、実践されている様子やその方法を知ることができありがたかったです。
〇 小学校の先生の授業では、一緒に歌うのが楽しく、歌詞を考えるのもワクワクしました。他の方の回答がどんどんチャットであがってくるので、たった1人で考えてるわけでなく、その回答を参考にしながら自分のイメージを膨らませることができました。中学校の先生の授業では、色々なツールを使いこなされていて、目がぱちぱちなりました。すごいな…と。生徒も意欲的に参加できると感じました。特に、自分の声を録音して、すぐに送れて、さらにみんなで共有できるのが、自分もやってみたい!と思った場面でした。
〇 子供の視点で模擬授業を受けて、気づいたことがあるので記述します。①オンライン上でも、ほとんどラグを感じないで合唱できた。とくに、交代で歌うような場面があると集中して歌えた。②先生の話だけでなく、チャットで捕捉があるとわかりやすい。オンラインだと先生の指示を聞き逃したときに周りに聞けないので、チャットでも指示があるとわかりやすいと思いました。③録音をするときは、周りの環境が気になってしまうことが実感できた。事前に録音しやすい環境をつくることができるように、今日の授業で録音する場合は事前に伝える必要があると思いました。
〇 実践のまとめとして、やっぱり立ち返るべきことや『やってみよう』からのステップアップなどおさえていただくことで、やってみている段階と思っている先生方を次のステージにあげることができると思いました。
〇 学習指導要領との関係の中で、オンライン授業でどのような学習活動を設定するかがクリアになりました。
〇 今の勤務校では、部活がない分、放課後、ICTを使った授業や活動など、どんなことに取り組んでいるかの情報が飛び交っています。学校によっていろいろ状況や条件が違いますが、できない・わからない・・・と言わず、「まずはやってみること」だと痛感しています。その話が先生の話の中に出てきたので、また頑張ろうと思いました。
〇 今後、みなさんのオンライン授業実践集みたいなものを作ってみたいです。先生方にオンライン授業の実践を簡単にまとめたものを作っていただき、応募用フォームへ提出していただき、実践を読み、共有できる期間を設け(その間に自分の学校で真似したり、試したりする)、座談会では、小グループにわかれ、質問し合えるようにして、最後、全体会でシェアする、みたいな流れをやってみたいです。

Vol.2 R3.9.25.Sat.(Zoomにて)

本ワークショップ2日目の報告です。
vol.1は同期型のオンライン授業が中心となったワークショップでしたが、Vol.2は非同期のオンデマンド型の授業実践の紹介をいただきました。お忙しい中(本当にお忙しい中)実践発表いただいた熊本大学教育学部附属小学校の中島千晴先生、本当にありがとうございました。
会の概要と、参加者の方のアンケートから抜粋させていただき、開催報告と代えさせていただきます。

1 著作権について

今回も会のはじめに、「著作権」についてお話させていただきました。「複製」「引用」「公衆送信」等々オンラインに限らず授業での著作物の利用において、教職員として正しく認識をもっておきたいワードはいくつもあります。是非一度しっかり確認しておきたいところです。

2 模擬授業(オンライン:オンデマンド非同期型) の体験

熊本県の中島先生から、オンデマンド型の授業における、個別最適な学びにつながる教材の開発や制作、指導や支援の在り方、オンデマンド型授業をしたことで明らかになったこと等についてお話しいただきました。

知識・技能に関わる面の指導や支援を、オンデマンド配信による教材と、授業支援クラウドシステムによる機能をうまく併用されていて、子供たちが自身の学習進度や理解度に応じて取り組んでいました。この仕組みは、対面授業を進めていく際にも、個々の学びが全体に広がっていくこととなり、より深い学びにつながっていくと思いました。大変勉強になりました。

3 オンライン授業におけるポイント・留意点~座談会

倉橋指導主事からのお話を経て、その後の座談会では、子供たちの学習ログの扱いについて、ハイフレックス型の授業における課題についてなど、様々な話題が出ました。
家庭やレンタル配布の通信環境の制限の関係で、オンラインとオフラインをうまく組合わせた授業展開の工夫や、市町村や地区の教科等研等でのコンテンツの共有等、少しの工夫で改善できることも多いようです。
こちらからもお伝えしたことで「学習環境に慣れる」ということがありました。機器の操作と併せて、子供たちが学習するにあたっての安心・安全をどう保障するか、ということに注力すること。どうしても、授業を流す、成立させることを意識してしまう時期なのですが、子供たちの「楽しい」を生み出す足場づくりを子供目線で考えることは、オンライン・対面に限らずやはり大切そうです。


まだまだ、迫りくる状況への対応の日々が続きますが、是非今後も情報共有しながら、取り組んでいきたいものです。いただいた企画案をもとに、次の会について計画をしたいと思います。

4 アンケートから

以下、アンケートから抜粋です。ご協力ありがとうございました!
〇 今回初めてでドキドキしながら参加させていただきました。中原先生、倉橋先生から熱い思いがある中にウェルカムな温かい雰囲気を感じ、とても居心地のよい学びの時間になりました。オンラインであっても、全国の先生と繋がることができて共に音楽について考えることができるこのような場は、今だからこそ本当に大切な場だと感じます。ありがとうございます。発表してくださった中島先生からは、ずっともやもやと考えていた「個別最適な学び」についてヒントをいただきました。子供一人ひとり、自分にあった学び方ができる、その選択肢を教師が与えてあげる、素晴らしいお考えだなと感じました。とても分かりやすいご発表で大変勉強になりました。ありがとうございました。
〇 今日整理されていたオンライン・ハイブリッド・オンデマンドなど、様々な遠隔型授業の形態があり、それぞれに悩みがいろいろあるので、こうした会で他の先生方の実践や悩みを共有できる場を提供していただいていることに感謝します。他のセミナーに比べ、他の先生方の温かさがとても伝わってくるので、安心して参加できます。きっとオンライン授業でも、そういった場の作り方が重要になってくるのではないかと考えました。受容的な雰囲気をオンラインで参加する生徒も感じられることが、学習機会の保障とともに大切な視点だと気づかされます。
〇 いつも新しい情報がいただけるので、たいへんありがたいです。私は、現在市教委にいて、GIGA端末に関する仕事をしている数少ない音楽の教員出身者だと思うので、全国の現場でどんなことが起こっているのか、教育委員会でどんな支援をするべきなのかという視点で参加しております。最後のほうで話題となっていた音楽科における「学習ログ」の保存については、引き続き色々とご意見伺いたいです。
〇 中島先生のリコーダー支援に係る一連の取り組みは、特に参考になりました。実際に制作してみたいです。個別最適化への学びに対して、精一杯支援されているのを紹介いただき、感動しました。
〇 世の中は、コロナ禍における新しい学校の授業の在り方を模索しながら実践されてるのだなぁと思いました。その中で、自治体あるいは学校での共通理解がとても重要ですね。先生方の負担も大変だとは思いますが、チームとして機能できることが働き方改革の近道でもありますね。いろいろと考えさせられる時間にもなりました。ありがとうございました。
〇 中島先生のオンデマンド授業の内容は,ハイブリッド授業や今後再開するであろう日常の対面授業でも,十分活用できる内容で,大変参考になりました。ロイロノートのカードも,使いこなせてなかった自分を痛感しました。おそらくしばらくは対面に戻るでしょうから,これまでの利活用を対面に活かしつつ,再度ハイブリッドに戻ることも念頭に置いた教材研究や授業実践をしていきたいと思いました。良いきっかけと示唆をいただきました。ありがとうございます。
〇 「やってみる」から「質的な転換」という部分は学校のどの教科でも(オンライン授業に関わらず)必要な視点だと思うので、先生方がどの立ち位置にいるのか?をメタ認知できるような声がけをしていきたいと感じました。
〇 私の勤務地では、音楽室のWi-Fi環境が悪く、タブレットを使うときは各教室で学習をしているというまだまだ状況です。なので、いろいろなオンラインセミナーで教えていただいたことを応用し、音楽科でタブレットを使った授業することで、Wi-Fi環境を整えてもらえそうです。ICTを使った音楽の授業を実践したいので、どんどんICTを使った音楽授業の小学校の実践を教えていただけると嬉しいです。2回目の参加ですが、今回もとても勉強になりました。本当にありがとうございました。
〇 最後の「音楽科学習お役立ちアプリ」がすごく勉強になりました。いつも何かお土産を用意してくださりありがとうございます。今回、ハイブリッドの話しが出てきました。今後、コロナ関係で、登校できない児童向けに、そういう実践力が必要になるかと思います。対面授業しながらの、ハイブリッド授業の実践事例等があれば知りたいです。
〇 当方はまだ、タブレット貸出もしておらず、オンライン授業以前ですが、先行知識として、参考になります。また、オンラインでなくとも、タブレットを使っての学習にとても参考になりました。アプリは使用料がかかると、基本導入してもらえないので(こちらは)、無料のもので、こんなことが出来る、こんな使い方がある、を今後も知りたいです。また情報の提供をお願いします。ありがとうございました。
〇 授業に役立つアプリやサイトの紹介など情報ありがとうございます。本市ではクロームブックのアプリにperfect pianoが二学期から追加されました。アプリは自分では自由にインストールできない管理設定になっています。前回教えていただいたジャムボードでリズム作りは自分でまねをして作成し、授業で活用しています。今回もありがとうございました。福岡の先生方すごいですね!

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