開催レポート 音楽科授業工房ワークショップ「明日の学校の合唱を考える」

1 お知らせ

12月9日福岡市の城南市民センター音楽室で合唱のワークショップを開催しました。
年末のお忙しい中沢山の先生方にご参会いただきまして、ありがとうございました。
今回で記念すべき(?)20回目のワークショップとなりました。これまでのご愛顧に感謝申し上げます。笑

 
会の概要を少しだけご紹介します。( ・ㅂ・)و

 
第Ⅰ部は歌う時間、第Ⅱ部は聴く時間、第Ⅲ部は語る時間として、合唱や合唱曲の魅力に浸ったり、授業づくりや学校行事における合唱の取組について考えたりしました。

第Ⅰ部 歌う時間 

第Ⅰ部では、以下の曲を歌いながら、発声の指導について考えたり、しみじみと合唱曲の魅力に浸ったりと、よき時間となりました。

・夢の世界を(作詞:芙龍明子,作曲:橋本祥路)
・春に(作詞:谷川俊太郎,作曲:木下牧子)
・ほらね、(作詞:いとうけいし,作曲:まつしたこう)
・群青(作詞:福島県南相馬市立小高中学校平成24年度卒業生,作曲:小田美樹,編曲:信長貴富)

  
その後、「信じる」(作詞:谷川俊太郎,作曲:松下耕)を教材曲として、合唱の授業のポイントについて、少しだけ自分のほうから模擬授業の様な形で、話をさせていただきました。
「信じる」は発想記号等がとても細かく記述されていて、「曲想と音楽の構造や歌詞の内容との関わり」や、「洗練された全体の構成」等の点から、表現を深めていく愉しさを子供たちも実感しやすい秀逸な曲だと思っています。何より、歌詞も旋律も心に沁みます…

併せて、合唱の題材を構想する上で、気を付けたいポイントについていくつか確認させていただきました。どうしても、合唱コンクールや合唱祭などを実施することが目的となってしまい、音楽科学習としてのねらいや、子供たち個々の育ちを見つめることがおろそかになってしまいがちなので、気を付けたいところです。

第Ⅱ部 聴く時間 

第Ⅱ部は以下の、新しい曲や参加者おススメの曲を聴き合いました。

取り組みやすそうな曲、深めがいのありそうな曲等の点から今回は選びましたが、どれも本当に素敵な曲で、聴き終わるたびに一同感嘆のため息を繰り返すよき時間となりました。

・ひとつの勇気(作詞:渡瀬昌治,作曲:松長誠)
・ぼくはぼく(作詞:工藤直子,作曲:三宅悠太)
・赤いふうせん(作詞:坂田江美,作曲:坂田三和)
・前に(作詞・作曲:山崎朋子)
・天球図(作詞:覚和歌子,作曲:森山至貴)
・1/6の夢旅人2002(作詞:樋口了一,作曲:佐井孝彰)
・14-fourteen-(作詞・作曲:弓削田健介)
・タイムリーパー(作詞:覚和歌子,作曲:三宅悠太)
・青空(作詞:青木景子,作曲:横山潤子)
・すべてのもの(作詞・作曲:山崎朋子)

個人的には、学校にいるときに扱っていたこともあり、新しい曲ではないですが、「青空」は激推ししたい曲です。こういう曲のよさや魅力を子供と共有できると、それだけで幸せだなぁと思います。生きる力です。

第Ⅲ部 語る時間

第Ⅲ部では、学校行事での合唱の取組や、合唱の授業のノウハウについて、少人数で情報交換を行いました。 学校にはそれぞれの文化があります。それは学校を越えて交流してみないと、気付かないことも多いものです。各学校の取組がよりよきものになりますようにと願っています。

最後に卒業ソングとしてもおススメの「ひらり、」(作詞・作曲:山崎朋子)を全員で合唱してお開きとなりました。ほんといい歌ですね。


おススメの曲を紹介していただいた先生方ありがとうございました。

思い返せば、「ひとつの勇気」や「ひらり、」は、数年前に音楽之友社さんのセミナーだったでしょうか、東京で鶴川第二中学校の生徒さんや、鈴ヶ森中学校の生徒さんの素晴らしい歌声とともに知った曲でした。(このセミナーは個人的に人生におけるかなりの分岐点となりました。)

素敵な作品が生まれ続けているということを忘れずに、授業で取り扱う曲もマンネリ化させずに、貪欲に探していくことを楽しみたいものです。

結びとして、参加いただいた先生方のアンケートから、いくつか抜粋させていただきます。お忙しい中、御参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。



<参加者のアンケートから>
・今後生徒と一緒に取り組んでみたいと思える素敵な曲にたくさん出会えて良かったです。
・多くの合唱曲を知ることができて良かったです。「ひらり、」は初めて聴きました。ぜひ今後卒業式等で扱いたいと思いました。また、地区が違う先生方の話を聞くことができてとても参考になりました。
・まずは単純に、みなさんと合唱することが楽しかったです。この楽しさをもっと生徒とも共有していきたいです!そして、自分自身は合唱が好きですが、それを生徒に押し付けたり、教え込んだりする授業ではなく、表現する楽しさや詩の美しさを音楽を通して実感することができるような授業をしていきたいです。楽しい時間をありがとうございました!
・合唱の学習で、楽曲全体だけではなく、部分的に扱うこと。楽曲構成を鑑賞曲と照らし合わせることを学びました。
・ワークショップに参加させていただき、ありがとうございました。様々な合唱曲に触れ、新たな発見がたくさんありました。コロナ渦の影響がまだ続いており、生徒に合唱の技能を十分に指導できない点もありますが、どんな時代においても音楽科の教員は生徒の琴線に触れる授業を展開し、子どもたちの豊かな心を育んでいかなければならないな、と思いました。発表会やコンクールで「合唱」に取り組む意義について、もう一度見つめ直します。

・音楽記号からの表現。「では、何も記載がないところはどうするか?」私も悩みましたが、子供たちはどんな発想力で考えるのだろう。と思いました。また、私の知らない合唱曲を教えて頂きありがとうございました。発声練習も参考になりました。今年の文化祭後、生徒が合唱を通してクラスの絆が深まったと感想を書いていました。合唱は音楽の技能、表現の他にクラスつくり、人間関係もつくります。とても嬉しい感想でした。

・思っていた以上に中学生は難しい曲を歌っていることに驚きました。どの曲もとても素敵で、歌詞も多感な時期の中学生にピッタリ。どの曲にも出会って欲しいなぁ歌は心の栄養にも支えにもなるものだと改めて思いました。 表現の工夫を楽曲で深く学んでいることにも感心しました。 小学校でももっと一人一人がのびのびと歌ったり工夫したりしておくことの必要感を強く感じました。

※写真については掲載の許可をいただいております。

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